夏休みや冬休み、ゴールデンウィークはもちろんのこと、近年ではシルバーウィーク、または少し長い連休に有休を足して海外旅行へ出かける人が増えています。
「日ごろは仕事や家事を一生懸命頑張って、休みには海外旅行で気分転換!」なんて、本当に素敵です。せっかく計画を立てて楽しみしている海外旅行ですから、何よりも元気に旅行したいものです。
ところが、普段は比較的カラダが丈夫な人でも海外では体調を崩しやすいもの。今回は、旅行を最初から最後まで楽しめるように、機内での過ごし方から現地の食事など健康管理に役立つ情報をまとめました。
機内での過ごし方
飛行機の中ってこんなに過酷!
飛行機は高度1万メートルもの上空を飛行します。機内は外の影響を受けないように、できるだけ調整されているのですが、気圧・温度・酸素濃度のどれをとっても地上とは大きな違いがあります。
機内の温度はエアコンでおよそ24℃前後にキープされますが、気圧は0.7~0.8気圧程度、酸素濃度は地上の約80%と、標高2,000~2,500メートルほど、ちょうど富士山の5合目に近い環境で過ごすことになります。
さらに飛行時間が長くなるほど機内の湿度は低くなり20%以下、わずか5~15%になることもあります。普通、室内の快適な湿度は40~60%といわれているので機内の湿度は、“超低湿度”でまるでサハラ砂漠と同じくらいかそれ以上に乾燥している状態です。
乾燥・風邪対策
先に書いたような飛行機内の気圧の低さや激しい乾燥は、体調によって喉や鼻の痛み、または風邪をひきやすくなってしまいます。さらに機内は気温が低めに設定されているため、風邪などの体調不良を引き起こしやすいのです。
予防のためには乾燥対策が欠かせません。例えば、マスクをするだけでも口元の乾燥を防ぎ、喉や鼻を守ることができます。
さらに、最も大切なのは水分補給です。機内ではトイレに行きたくないから・・・と、水分を控える女性が多いのですが、機内で脱水症状を起こす原因になります。そこで、こまめな水分補給は欠かせないのですが、シンプルにお水を飲むのがベストです。
機内ではソフトドリンクもありますが糖分が多いものは控えめにしましょう。また、一度にたくさんのお水を飲むのではなく、少しずつ摂取してカラダに吸収させるといいですよ。
風邪対策としては、暑い地方へ行くフライトでも、機内で羽織れるような長袖のパーカーやセーターなどを持ち込むか、機内にあるブランケットでカラダを包むようにして休むことをおすすめします。
エコノミークラス症候群とは?
近年多くの人に知られるようになった「エコノミークラス症候群」は、長時間狭い座席でずっと座ったままにいることで、膝の裏あたりの血流が悪くなり、静脈に血のかたまり(血栓)ができてしまい、立ち上がった時にそのかたまりが静脈内を流れて心臓から肺に詰まる危険性がある症状のことです。
急に息苦しくなって胸が痛み、失神したり命を落としたりする可能性があります。
これは必ずしも飛行機に限らず電車や車などの車内でも引き起こされる可能性があるのですが、航空機内のエコノミークラスで発症することが多いため、「エコノミークラス症候群」と名づけられました。
エコノミークラス症候群対策
水分をしっかり補給する
血液中の水分が減ると血液が濃くなり、血のかたまり「血栓」が生じやすくなります。
そのことを防ぐためにも機内ではこまめに水分を摂取することが大切です。水分量の目安は、1時間にコップ半分程度。ジュースなどのソフトドリンクか水を飲むようにしましょう。
ただ、ジュースは糖分が多いことに注意すること。コーヒーなどのカフェインやアルコールは利尿作用があり、かえって脱水症状の原因にもなりかねないので控えるようにしましょう。
なるべく足を動かす
狭い機内で足を動かすには少し工夫が必要ですが、足の血流を良くすることがエコノミークラス症候群予防に最も効果的だといわれています。
例えば、座っていても足のつま先を上下させる運動を繰り返すことや、足首をぐるぐると回してみる、ふくらはぎをマッサージする、などの血流改善を定期的にするだけでも効果的です。できれば2~3時間に1回は意識的にトイレへ立って、屈伸運動をするのもおすすめ。
リラックスできる服装をする
ロングフライトの場合は機内で着ている服装によって、カラダが締め付けられ血行が悪くこともあります。機内ではタイトなジーンズやパンツの着用を避け、ストレッチ性のある素材などゆったりとしたデザインの服装で過ごすと快適です。
また機内にはスリッパを持参して、靴を脱ぐだけでもリラックスできるものです。また、履くだけで血流が良くなるような“着圧ストッキング”を履くのもいいかもしれません。
エコノミークラス症候群の原因になる「血栓」は、出来ていても自覚症状がなく気づかない場合もあります。「自分は大丈夫・・・」と油断せず、できる限り事前に予防しておきたいものですね。
現地の食事で注意すること
水と氷には注意!
日本では水について特別意識する必要はありませんが、一歩海外へ行くとほとんどの場合飲む水に気をつける必要があります。
実際、少しくらい大丈夫だと油断して生水を飲んで腹痛や下痢になり、せっかくの海外旅行をホテルで過ごすことになる人も多いのです。食堂のようなところで出される生水や水道水を飲むのは避けたほうが賢明です。
脱水症状などにならないために水分補給は欠かせませんが、缶やペットボトルの100%ミネラルウォーターを購入して飲むようにしましょう。できるだけ安心できるメーカーのものを選ぶほうが無難です。ま
た、意外とウッカリ忘れやすいのが“氷”。氷は水道水で作っていることが多いのです。暑いからといって屋台などで氷入りの飲み物を購入するのは注意が必要です。
また、ヨーロッパなどでは「硬水」が主流で、ミネラルウォーターも「硬水」である場合が多くあります。「軟水」になじみがある日本人には「硬水」で下痢を起こすことがあるので、ミネラルウォーターも硬度が低いものを選ぶといいでしょう。
生ものに注意!
旅行先の状況によって多少異なるのですが、海外旅行先での生ものはおすすめできません。
いわゆる発展途上国と呼ばれる国々ではインフラ整備の遅れなどから保存状態が良くない場合がありますし、先進国と呼ばれる国、例えば地中海沿岸の一流ホテルで「生牡蠣」を食べた人が食中毒を発症して入院した例もあります。
また、意外な食べ物「サラダ」や「カットフルーツ」でお腹を壊すこともあります。野菜やフルーツは新鮮でも、それらを洗った「水」が原因で体調を崩すこともあるのです。
海外旅行では環境の変化や疲れなど、普段よりも免疫力が低下していることが多いもの。できるだけしっかりと火の通ったものを食べるようにしましょう。
食べる量に注意!
海外旅行先では本場の食べ物を味わうのも楽しみのひとつですね。欧米では油や乳製品たっぷりの食事、東南アジアやインドなどの大量のスパイスを使用したエスニックフード、など普段の日本食からは大きく異なる食事が続くことで胃腸への刺激が強く消化不良を起こすことがあります。
また、美味しいものがたくさんあって、「あれもこれも試してみたい・・・」と、お腹いっぱい食べていると胃腸が弱ってお腹を壊すことになりかねません。食べたい気持ちは分かりますが、元気に旅行を楽しめるように腹八分目を心がけましょう。
しっかり健康管理して海外旅行を楽しもう!
いかがでしたか? せっかく計画を立てた海外旅行、旅の途中で体調を崩してしまったら楽しみも半減・・・どころか、最悪の場合は旅行先でホテルから一歩も出られないまま帰国・・・なんていうことになりかねません。
あらかじめしっかりと健康管理をして旅行を楽しみたいものです。
10時間以上・・・などのロングフライトを狭い飛行機の機内で過ごすのは、考えるだけで億劫だと感じる人もいるかもしれませんが、ちょっとした工夫や持ち物でずいぶん快適に過ごすことができます。普段は嫌でも動き回らなくてはいけない毎日を過ごしているのですから、「10時間もゆったりした時間が過ごせるのね!」と、発想を転換してみましょう!
また、旅行先では特に水と生ものに注意。さらに食べ過ぎないことも大切です。しっかりと睡眠と休憩をとって体調を管理しながら旅行を楽しみ、リフレッシュして帰国したいものですね!