米国がキューバとの国交正常化に動いています。キューバは、今まで国際社会に対して、比較的閉じられた国でした。そのため、キューバの人々は閉じられた中で生活し、とてもユニークな部分を残しています。
その一つにインターネット事情があるでしょう。すこし前まで、キューバでは、公式には個人が自由にインターネットに接続することはたいへん困難でした。私がキューバを訪れた時の実体験をお話しします。
機能しないインターネット接続
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私がキューバを初めて訪れたのは2008年です。当時は、キューバの人々はまだ、自由に携帯電話を購入することが許されていませんでした。インターネット接続にしても同じような状況だったと思います。
旅行者は、インターネットカフェなるところを使うことが許されていましたが、首都ハバナでもインターネットができたのは、とても限られていました。
私がハバナでインターネットをしたのは、一度だけです。それは、ハバナのとある有名大手ホテルのコンピュータールームでした。
使用量は一時間約12USドル相当だったと記憶しています。まず、高いです。そして、私が持っていたメールアカウントはグーグルアカウントだったので、グーグルに接続しようとしましたが、案の定つながりません。
何度試しても、PCは接続しようとしていますが、とにかく非常に遅い!何度やっても、エラーになるので、また最初からやり直しです。自分のグーグルアカウントを開くまで何度も繰り返しました。
結局1時間分の料金を払ってから、自分のメールが読めたのは50分後のことでした・・・。
街でナンパかと思いきや・・・
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ある日の夕暮れのことです。日没が迫っていたので、私は早足で、自分の宿泊していたゲストハウスに向かって歩いているところでした。
急いでいたので、つい信号無視をしてしまいました。そうすると背後から男性の声で、
「ちょっと、あんた信号無視はアブナイよ、ここはキューバなんだからね!」
というようなことを英語で言われて、ちらっと振り返ると、キューバ人男性が私の後をついてくるように歩いています。
私は、日没前にゲストハウスに戻りたかったので、足を止めませんでしたが、彼は歩くスピードを合わせてぴったりついてきます。
歩きながら、「どこから来たの?」とか「キューバははじめて?」とかお決まりの質疑応答がありました。そうしてゲストハウスの近くまで来たので、仕方なく足をとめて、さよならしようとたのです。
彼の狙いは意外にも
photo credit: 2014-12-17_09-57-03_ILCE-6000_DSC00067 via photopin (license)
「私のホテル、この近くだから、もう送ってくれなくて大丈夫よ」と私。
彼は、「OK。でも一つだけお願いがあるんだけど。」
「あー、やっぱりそう来た、やだなー」と思いながら「何?」と聞き返しました。
「僕、インターネットでお見合いをしたいんだ。」
意外な言葉にちょっと「へ?」となった私。
「キューバはね、あまり自由にインターネットできないの君も知っているでしょ? でも、僕は外国人の彼女と付き合いたいんだ。君が国に帰ったら、僕の写真をお見合いサイトに乗っけてくれない?」
予想していなかった「お願い」にちょっとびっくりしながら、でも早く彼から解放された買ったので、しぶしぶ承諾しました。
そして、私は、デジカメで彼の写真をと摂らされて、
「自己紹介するから、ちょっとメモってくれる? 名前は〇〇(憶えていない)、人種はムラート(白人と黒人の混血、キューバには多い)、仕事は・・・・・」
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という具合に、摂りたくもない写真とメモを取らされて、やっと解放されたのでした。
写真は、まあ記念になるか、と削除しませんでしたが、彼のお願いは聞いてあげられていません・・・。ごめんなさい。
と、これは当時、インターネットが一般の市民にはアクセス困難であったことを物語るエピソードです。今は、携帯電話も自由に購入ができるし、ネット接続も随分改善されてきています。
2015年にまた、キューバを訪れましたが、一部の宿泊施設ではネットは使えます。ただし、接続規制がかかっているので、目当てのサイトにたどり着けるかどうかは不安定です。
ネット接続が出来ないのは、旅行者にとって大変不便ですが、それでもキューバには、世界中の旅行者を惹きつける魅力にあふれています。