日本からも近く、物価も比較的安い中国は旅行先としてとても魅力的な国です。悠久の歴史と広大な国土を誇る中国ですから、長期の旅行でもそのすべてを見て回ることは容易ではありません。
そんな中国ですが、日本人の方の中には、「危険なのでは?」と思っている人もいるかもしれません。
確かに、どんな国でも危険な場所や治安のよくない地域はあります。しかし、そこさえ避ければ中国は比較的治安も良く、安全に旅行できる国の一つです。今回は、中国旅行や在住のさいの私の経験をもとに、中国で比較的治安のよい都市と治安の悪い都市を紹介します。
中国で治安の良い都市
上海
中国でも一、二を争う経済都市・上海。都市の発展のために、政府が力を入れて治安対策を行っているため、街のいたるところに警察が常駐しており、比較的トラブルの少ない都市だといわれています。
また、日本人在住者の多さも特徴の一つ。日系企業の進出も多いため、「日本人街」を形成しているエリアもあります。そのため、日本語メニューがあったり、日本語OKのスタッフがいる店も多く、日本人にとって訪れやすい都市だといえます。
杭州
上海から少し内陸に入った浙江省にある杭州市。西湖という湖を中心とした街は、中国でも有数のお金持ちが住むエリアです。平均所得が高い分、街が安定していて、治安が良いということ。
古くから「地上の楽園」と呼ばれ、一時は王朝の都があったことなどからも、人々の素養の高さも感じられます。また、上海同様、日本人観光客や居住者が多いので、足を運びやすい都市ですね。
美しい西湖と水墨画で有名な都市で、ここに住む方は中国内の中でも芸術的センスに優れているといわれています。そのせいもあってか、文化的意識が高く、観光業にも力を入れているため、安全や治安に関してはかなり安心して旅行できる都市だといえるでしょう。
特に観光客が多い西湖付近には、巡回する制服警察官の姿もよく見かけます。何かトラブルがあったらすぐに対応してくれるようになっているので、安心感も違います。
麗江
日本人にはあまり聞きなれない雲南省・麗江。少数民族ナシ族が中心の街で、この地方独特の木造建築が立ち並ぶ古い町並みが見どころです。もともとゆったりした少数民族の街であることと、数年前から欧米人観光客が増えたことをきっかけに街自体の開発が進み、環境が改善されたことで、治安が改善されました。
蘇州
再び、上海近郊からランクインするのが江蘇省蘇州市です。世界遺産・蘇州古典園林などを目当てに、多くの観光客がやってきます。蘇州は古くから学問の都として知られており、賢人が多いことでも有名。
そんなお土地柄か、蘇州の人はあまりあくせくせず、しっかりと地に足を付けた生き方をしている印象です。
青島
最後は、青島ビールで知られる山東省青島市です。ここは大戦中、ドイツの植民地であったため、早くから経済的地盤が安定。そのため、比較的治安の安定が保たれている都市です。
中国人の間では夏のリゾート地としても知られています。人々がリゾートに訪れるような街に、治安の悪いところはありませんよね。
桂林
漓江下りの出発点として知られる都市です。風光明媚なカルスト地形の山々が見どころです。
桂林も観光に注力しており、世界中からの旅行客の受け入れに積極的です。そのためか、安全と治安には特別配慮されていると感じられます。
また、中国きっての観光都市の一つであることで、経済的にも発展しています。ですので他の地域や都市に比べると、治安が悪い、ウサンクサイ地域も比較的少ないのではないでしょうか。
昆明
雲南省の省都で、ラオスやミャンマーへの国境越えの中継点でもあります。一年を通じて温暖なので、どの時期に訪れても過ごしやすいこともあり、観光客にも好まれるスポットとなっています。
大理や麗江、シャングリラといった、バックパッカーにも人気のある都市へのアクセスも昆明市を経由することになります。そのためもあって、昆明市内は整然と整備され、治安も安定しているようです。
中国で比較的治安が良くない都市
深圳
香港から地続きでつながっている都市です。深圳は港としても航空地としても発展しており、日本企業も多く進出しています。しかし、それだけに周りの比較的貧困な地域からの移民も多く、安全面では安定しない街でもあります。
日本人が多く居住しているので、そういうエリアに限っては治安は悪くないといえるかもしれませんが、油断は禁物です。
軽犯罪やぼったりは日常的に起こっているので、注意してください。
広州
食の街として知られる広州は、北京、上海の次に有名な都市かもしれません。しかし、残念ながら、北京や上海ほどには、まだ洗練されていない印象があります。
また関東エリアきっての大都市だということもあり、近隣から流入してくる人口も多いです。
移動人口や暫定的な住人が多い町は、どうしても犯罪も多くなると思います。
広州市内でも旧疎開地であった沙面付近は比較的安全ですが、その他の地域では警戒心をゆるめないことをおすすめします。
中国で治安の悪いエリア
鉄道駅付近
これは、どの都市というわけではなく、どんな街でも治安が良くないのが鉄道駅周辺です。北京や上海、広州といった大きな都市になればなるほど、鉄道駅に行くときには用心してください。
特に、スリが多いので、ポケットの中に貴重品を入れたままで散策するのはおすすめできません。
ローカルのマーケット
中国旅行の楽しみの一つが、現地のマーケット(市場)散策です。しかし、ここも人が多く集まるところ。いい人も悪い人もいます。特に、周りをキョロキョロしながら歩く観光客は、彼らにとってはいい標的となりますので、狙われやすいことを常に意識しておきましょう。
写真を撮るのに夢中になっていたスキに、ポケットのお金をすられた、なんてことは良くある話です。
すべてのマーケットが危険だというわけではありませんが、鉄道駅と同様、用心して赴くようにしてください。
両替商
中国で日本円などの外貨を人民元に両替するには、銀行か両替商に行きます。銀行は営業時間が限られていますが、両替商はより長い時間営業しています。
どこの国でも同じことが言えますが、両替するときの前後は警戒心を緩めないようにしましょう。
銀行でも両替商でも、闇両替商人に声をかけられることがあります。銀行や正規の両替商よりもいいレートを提案されますが、けっして話にのらないようにしてください。ほぼ確実に偽札が渡されます。中国は偽札が多く出回っているので、必ず正式な場所で両替しましょう。
また、お金を両替した直後、両替店から後を付けられて、油断したすきにお金や財布を盗まれるという犯罪も起こっています。
両替はできるだけ治安のいいエリアで行い、両替した後も周囲を警戒しましょう。人前では決して現金を見せないことが大切です。一度の両替で大金を換えないようにすることも良い方法です。
その他注意する点
中国で治安のよい都市と悪い都市をピックアップして紹介しました。ただし、どんなに治安の良い都市でも、危険な場所や治安の悪いエリアがあります。そのような場所にはできるだけ近づかないこと、万が一足を踏み入れてしまったらできるだけ早く立ち去るようにしましょう。
また、中国では2つ星程度のホテルは、あまり安全性が高くないところもあります。鍵が簡単に壊せるようなものだったり、外部から誰でもホテルの敷地内に入れるようなところもあります。
中国で安ホテルに泊まる予定がある方は、貴重品用の南京錠を用意しておきましょう。他の旅行者と部屋をシェアできるドミトリーに宿泊することもおすすめです。
治安が良くても安全は自己責任
中国は他の国と比較すると、決して危険な国ではありません。しかしそれでも、どこの街でも犯罪は起こっていますし、外国人観光客が巻き込まれるケースも少なくありません。
常に狙われやすいということを意識して、最低限の警戒心を持ちながら、旅行を楽しみましょう。